ベラルーシの軍事車両がブレストに

ベラルーシの多数の軍事車両がポーランド国境に近いブレストに向かっている。


ブレストから南下するとすぐにベラルーシとウクライナの国境である。
そのまま越境してウクライナ領内に入ると、ポーランドとウクライナを結ぶルートをウクライナ領内で遮断することができる。

ポーランド~ウクライナの連結路が断たれると、ウクライナから西へ向かう難民の移動と、ポーランドから東へ向かう支援物資の輸送がともにストップすることになり、影響は大きい。

サクソフォンによるウクライナ国歌

サクソフォンによるウクライナ国歌が毎日バルコニーから聞こえる。ムィコラーイウ(ウクライナ南部、黒海北岸の都市)にて。

ベラルーシとの国境に向かう車両の運行をブロックする市民たち

ベラルーシ・ロシアへの物流を止める――ポーランド東部、コロシチンのトラック・ターミナルで、ベラルーシとの国境に向かう車両の運行をブロックする市民たち。
道路はデモでふさがれ、ポーランドから東に向かうトラックの渋滞は20kmを越える長さになっている。この抗議活動は週末いっぱい続けられる見込み。

スベトラーナ・アレクシェービッチのインタビュー

ノーベル文学賞作家で、ベラルーシとウクライナにルーツを持つ、スベトラーナ・アレクシェービッチのインタビュー(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220318/k10013534191000.html

このひとがどう考えているか知りたい、といちばん思っていたひとのインタビュー。
一言一言に重さと深さを感じますが、とくにベラルーシの視点からの発言が貴重だと思いました。

モスクワ、ルジニキ・スタジアムで開催された「クリミア併合8周年記念集会」(=ウクライナ戦争に賛成する集会)の光景

参加者13万人だという。

Zの文字がついたTシャツやリボンを身につけて参加

演説するプーチン。背景の横断幕には「ナチズムなしの世界のために」「ロシアのために」

プーチンの演説に熱狂する人びと

モスクワ市内の戦争支持のデモンストレーション。ロシア内務省発表では20万人以上が参加。

これらの映像を見ると、クレムリン内の宮廷政治の次元だけでは現在のロシアの体制は説明できないように感じる。そして、この戦争はかんたんには終わらないかもしれないとも思い、さらに暗くなってしまう。

モスクワで、戦争賛成の集会がルジニキ・スタジアムで開催されることになっていたが

モスクワで、戦争賛成の集会がルジニキ・スタジアムで開催されることになっていたが、集まった人たちは集会が始まるまえに会場から立ち去り始めた。「チケットにパンチを入れてもらったから、もう帰るわ」

こういう官製集会の仕組みをよく知らないが、職場などで入場券が配られて、会場の入り口でパンチを入れてもらって「参加した」しるしが手に入れば、集会で「NATOに操られたウクライナのファシストを打倒しよう!」などと気勢を挙げなくてもかっこうがつく、ということなのかもしれない。そうなると「参加人数」も、じっさいに参加した人数ではなくて、配られた入場券の枚数なのかもしれない。

アーノルド・シュワルツェネッガーのロシア人・ロシア軍兵士へのメッセージ

シュワルツェネッガーの動画は、ロシアの人たちに向けて「あなたたちはクレムリンの権力にだまされている」と語りかける反戦メッセージです。

日本語訳されて、毎日新聞に掲載されています。
https://mainichi.jp/articles/20220318/k00/00m/030/085000c?cx_fm=mailhiru&cx_ml=article&cx_mdate=20220318

ロシアのピアニスト、ボリス・ベレゾフスキーの発言

「われわれは彼ら〔=ウクライナ人〕を優しく扱うのをやめて、完全に包囲して、送電網から切り離してしまうべきではないか?」
ロシアのピアニスト、ボリス・ベレゾフスキー(1990年のチャイコフスキー国際コンクールで優勝)が、ロシア国営放送のTV番組でこのように発言した。
この主張に対して、この議論に加わっていた兵士は「われわれ自身の手で人道的破局をもたらすわけにはいかない」と応答した。
ベレゾフスキーは、以下のようにも述べた。
「西側のメディアは嘘をついている。われわれはこの戦争に勝たねばならないし、その勝利の上に善きものを築かなければならない。結局は真実が人びとに明らかになる。1年も経てば真実が勝利する。」
「〔戦争による世界の石油価格の上昇について〕西側でなにが起ころうと私には関係ない。彼らは勝手に対処するだろう。今後3年間は西側に行かないつもりだから、私はぜんぜん困らないよ。」

この発言に対して、ベレゾフスキーと親しかった音楽家たちから怒りの声があがっている。
パリ室内管弦楽団の指揮者でピアニストでもあるラルス・フォークト
「旧友のボリスがこんなことを言うなんて信じられない。だが、彼の口からそのように語られるのを私は聴いた。彼との友情はこれで終わりだ。」
ベネズエラのピアニスト、ガブリエラ・モンテラ
「大きな失望だ。…音楽的な偉大さと他人の境遇への共感は、かならずしも手に手をたずさえて歩むわけではない。」
指揮者ダリア・スタセフスカ
「これはシニシズムの限界さえ越えている。」

自らの発言をめぐるベレゾフスキーのコメントが、火曜日に発表された。
「西側も現在の劇的な状況に対する責任を負っていると説明しているアメリカや西側の政治学者たちを参照したうえで、私は自分の意見をあのように述べた。だがそれは、この戦争であれどんな戦争であれ、私が容認しているということではない。あの番組に出演したときの私のまことに素朴な意図は、このドラマができる限り早く終わるために可能な解決策を考えることだった。電力供給を停止したらどうかと私が問うたとき、私が考えていたのは、キエフを爆撃するのを回避して、それによってさらにはるかに劇的な人道的破局を防ぐことだった。しかし、私が自分の考えを最後まで述べる前に、私は発言をさえぎられた。今後は、私の芸術にかかわらない質問にはいっさい答えることはない。」

https://wyborcza.pl/7,113768,28231737,rosyjski-pianista-apeluje-o-odciecie-ukraincom-pradu-i-zarzuca.html

※ベレゾフスキーが出演したロシア国営放送の討論番組の動画

ウクライナ戦争を伝える西側の新聞の1面を並べて見せたうえで、出演者に意見を述べさせる(踏み絵をふませる)構成になっている。右側いちばん手前に立っているのがベレゾフスキー。

※ラルス・フォークトのtweet

ゲッベルスのようなプーチン

バルトシュ・T・ヴィェリンスキ
「ゲッベルスのようなプーチン――ルジニキでの彼の集会は1943年のベルリンの集会を想起させる」
「ガゼタ・ヴィボルチャ」2022年3月18日付

諸君は総力戦を欲するか?――1943年にナチスの宣伝全国指導者ヨゼフ・ゲッベルスは群衆にこう問いかけた。今日、ウラジーミル・プーチンはロシア人に同様の問いを投げかけた。

1943年2月8日、念入りに選ばれた聴衆がベルリンのスポーツ宮殿の観客席を埋め尽くした。2時間近くにわたって演説したヨゼフ・ゲッベルスは、何度も拍手喝采を浴びた。宣伝・公教育相であり、アドルフ・ヒトラーに最も近い協力者の1人である彼は、ドイツ人たちに、戦争は新たな局面に入ったと告げた。その2週間前、ドイツ軍はスターリングラードで壊滅的な敗北を喫していた。アフリカ軍団も敗北し、太平洋では日本軍が敗北していた。ヒトラーに対抗する連合国側は第三帝国の無条件降伏を望んでいた。ヒトラー政権の指導者たちにとって、生きるか死ぬかの戦いが始まっていた。ドイツ人たちの士気を保つために、ゲッベルスは総力戦という標語を用いた。ひとりひとりのドイツ人がこの戦いに参加するのだ。「諸君は総力戦を欲するか?」と彼は演説の最後に問いかけた。会場は熱狂して叫んだ、「もちろん!(Ja !)」

ロシアは電撃戦に失敗した

モスクワのルジニキ・スタジアムでの今日のプロパガンダ集会を見ながら、私は79年前の出来事のことを考えていた。無数の旗が翻っていた。そして、ウクライナに侵略したロシア軍が用いているZのしるし。ロシアのプロパガンダにとってこのシンボルは国家を支持する記号となったが、ロシア軍の兵士たちが犯した犯罪のために、世界にとってZは新たな鉤十字となった。ルジニキの集会の目的はスポーツ宮殿での集会と同じである。つまり、勝つことができないと思われる戦争を支持するように国民を動員することだ。

ロシアは、第三帝国と同様に、ウクライナで電撃戦を行なおうとした。ウクライナ人の抵抗、ウクライナ軍の見事な編成と指揮、社会をあげての果敢な姿勢、国の指導者たちの高い識見と能力によって、ロシアの計画は葬り去られた。ロシアはそれゆえに総力戦を行なうのだ。犯罪的なやり方で――砲撃と爆撃で――ウクライナの都市を破壊する。攻囲されたマリウポリで、ロシア軍は建造物の80%を破壊した。これは、ワルシャワ蜂起後にヒトラーがこの都市を地上から消し去れと命じたときに行われた破壊に匹敵する。ロシア軍はウクライナの工場を破壊し、森の木を切り倒し、農業に必要な設備や機器を破壊している。このような戦争は、1943年にまさしくゲッベルスが予告したものだ。2年と3か月足らず後、ソ連兵の手におちないように、まず自分の6人の子どもたちを殺したうえで、ゲッベルスは妻と自殺した。

あの群衆はロシアの空気について多くを語ってはいない

ドイツ首相オーラフ・ショルツは、ドイツ市民に対してロシアが仕掛ける攻撃を断固として非難した。彼はツイッターに、ウクライナでの戦争は、ロシアの戦争ではなく、プーチンの戦争に過ぎない、と書いた。この引用を文脈から抜き出してルジニキでの集会の熱狂的な雰囲気と並べてみると、控えめに言っても、あまり正しくはないように見える。しかし、覚えておかなければならないのは、1943年のスポーツ宮殿には念入りに選ばれた人たちの集団しか入れなかったということであり(ゲッベルスはのちに、すばらしく訓練された聴衆を前に演説したと語っている)、同様にルジニキでも、学生や、国家の官庁や諸機関の職員が、強制されて集められていたということだ。彼らの熱狂は、たとえ心からのものであったとしても、ロシアの空気について多くを語るものではない。

第三帝国では、今日のロシアと同様に、人びとは全面的なプロパガンダの影響のもとにおかれていた。ドイツ人たちは国外の情報から完全に切り離されていた(外国のラジオ放送を聴くことは刑罰の対象であった)。ロシア人たちは、西側のポータルサイトをブロックされ、世界のインターネットから切り離されれば、同じ運命をたどることになる。1940年代のドイツ人は、自分たちの総統のもとに最後までとどまる以外に選択肢をもたなかった。総統から権力を奪うことができるようないかなる力もなく、国家はテロルを用いる治安機関のコントロールのもとにおかれ、治安機関は敗北主義のあらゆる徴候を見逃さなかった。連合国側の想定に反して、戦争による損失や都市の爆撃によってドイツ人が反乱へと促されることはなく、防空壕に隠れたドイツ社会はますます無気力な大衆となっていった… 同じような運命をロシアはたどるのか?

https://wyborcza.pl/7,75399,28238566,putin-jak-goebbels-jego-wiec-na-luznikach-przypomina-ten-z.html#S.DT-K.C-B.3-L.2.maly

1943年のベルリンの集会と2022年3月18日のモスクワの集会には、たしかに共通する点がある。軍事的な不成功によって戦争全体の成り行きと体制の将来に指導者自身が不安を覚え、国民の士気を高め、国民全体を動員するためにプロパガンダ集会を開催したこと。

しかし、相違する点もある。2022年、ルジニキ・スタジアムに集まった群衆は、1943年のスポーツ宮殿の聴衆のような「念入りに選ばれた人たち」ではなかった。「選ばれた」国家機関・組織の構成員に入場券が配られたのだろうが、彼ら全員が「すばらしく訓練された聴衆」であったわけではなさそうだ。会場に最後まで残った人たちはプーチンの演説に熱狂的に拍手喝采したが、最初のほうだけ参加して会場から立ち去った人たちもいた。


後者の人たちは、プーチンが支配する現体制内で学んだり働いたりしている人びとである。上から指示されればそのとおりに従うが、おそらくはウクライナでの戦争を熱狂的に支持しているわけではない。動員されれば会場まで足を運ぶが、プロパガンダに全面的に身を委ねることはせず、家に帰る。この振る舞いは体制への従順の表現なのか、無関心のあらわれなのか、それとも密かな不服従・抵抗の兆しなのか――よくわからない。

プーチンは完全な意味でのゲッベルスではない。プロパガンダの専門家ではなく、諜報の専門家である。閉じた空間で、あらかじめウラもオモテも調べあげて弱みを握った特定の相手を威圧しながら取り引きを有利に進める能力には長けているかもしれないが、レトリックと身振りを駆使して2時間も聴衆を熱狂させる演説をぶつことは、プーチンにはできない。

ルジニキ・スタジアムでの集会を中継した国営放送は、プーチンの演説の途中で画面を切り替えるという「ミス」をおかした。ロシア当局は「技術的な理由によるもの」と事後に発表した。国営放送のスタッフによる抵抗の表現である可能性もゼロではないように感じるが、真相はわからない。

ロシアの言論弾圧と思想統制の現状は憂慮すべきものだが、ロシアの治安機関はゲシュタポではない。反戦を訴える市民は拘束されているが、社会全体が密告・拷問・処刑の恐怖に覆い尽くされているわけではなさそうだ(1943年のスポーツ宮殿の集会で途中で席をたって家に帰ったら、ただではすまなかったであろう)。

現時点で体制内にいて動員がかかれば従うが、熱狂的に戦争を支持しているわけではない人たちの今後の動向が、鍵を握っているような気がする。彼らは、「無気力な大衆」として、ヒトラーやゲッベルスに抵抗する反乱を起こさずに敗戦を迎えたドイツ国民と同じ運命をたどるのだろうか。それとも…?

【SatK】

「ウクライナ、日本に衛星データ要請」の記事

ウクライナは日本に対して、ロシアの攻撃を撃退するために有効な高画質の衛星写真の提供を要請した。木曜に「日経」が報道し、「ガーディアン」が引用している。

日本政府と民間企業が衛星を管理している。これらの衛星は、昼夜を問わず、また、雲やその他の大気中の障害を通過して詳細な地表の状況をとらえる性能を有している。日本政府は、このようなデータをウクライナに提供することが政治的に受け入れられるか、「現行の法の枠内」で許されるかを検討している。

木曜朝、日本の防衛省は、ウクライナとの戦争に必要な装備を運んでいる疑いがきわめて高いロシア船4隻を認識したと発表した。これらの船は本州と北海道のあいだを通過した。

Ukraina poprosiła Japonię o udostępnienie wysokiej jakości zdjęć satelitarnych, które pomogłyby jej odeprzeć rosyjski atak, podała w czwartek gazeta “Nikkei”, którą cytuje brytyjski “Guardian”.

Japoński rząd i firmy prywatne obsługują satelity, które mają zdolność przechwytywania dokładnych obrazów w dzień i w nocy, a także przez chmury i inne przeszkody atmosferyczne. Japoński rząd rozważy, czy udostępnienie takich danych Ukrainie jest politycznie akceptowalne i dozwolone w ramach ”obecnych ram prawnych”.

W czwartek rano japońskie Ministerstwo Obrony poinformowało, że zauważyło cztery rosyjskie statki wojskowe, które najprawdopodobniej dostarczają sprzęt potrzebny na wojnie z Ukrainą. Statki przepływały pomiędzy japońskimi wyspami Honsiu i Hokkaido.

日本が*軍事的に*ウクライナでの戦争に巻き込まれつつあることを実感させる「ガゼタ・ヴィボルチャ」のタイムラインの記事。
情報源として言及されている「日経」の記事は有料なので私は冒頭しか見ることができておらず、津軽海峡を通過するロシア船の情報も同じ「日経」の記事に含まれているのかがわかりません。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA16AXP0W2A310C2000000/

いわゆる「デュアルユース」(軍民両用技術)の典型ともいえるケースだと思いました。そう考えると、有志の会で以前とりあげた「大学における軍事研究」問題とも無関係ではありません。

カミカゼ・ドローン

昨日議決されたアメリカのウクライナへの軍事支援の一環として、無人飛行爆撃システム「飛び出しナイフ Switchblade」(カミカゼ・ドローン drony kamikadze)がウクライナに送られる。このドローンは兵士が携帯可能で、標的に到達後に自爆する。

「カミカゼ・ドローン」drony kamikadze というポーランド語をはじめて見ました。こういうところで日本語由来の表現に出会うのは悲しいことです。