ロシアは「密告社会」に戻るのか 録音された戦争批判で教師免職

『毎日新聞』 2022年4月12日
https://mainichi.jp/articles/20220412/k00/00m/030/001000c

「旧ソ連時代のような、かつての「密告社会」に戻るのか――。ロシア国内の教育現場で、ウクライナ侵攻に反対した教師や、ウクライナ支持と受け止められるような発言をした教師たちが「露軍の信頼を失墜させた」などとして裁判所に罰金を言い渡されたり、免職となったりするケースが相次いだ。教師らの発言は、生徒や学校の同僚を通じ、親や校長、そして最終的には警察など当局に伝わっていた。」

記事では、2つのケースがあがっている。

・サハリンの港町コルサコフで、女性教師が、英語の授業で、世界のさまざまな民族の子どもたちがロシア語とウクライナ語で平和について歌うビデオを見せた。授業が終わった後、生徒数人が教室で「先生はウクライナを支持するのか」と詰め寄ってきた。その時の会話を生徒が録音し、親に聞かせたという。彼女は「不道徳な罪を犯した」として免職になり、行政罰として3万ルーブル(約4万6000円)の罰金も言い渡された。

・東シベリアのブリヤート共和国オノホイでは、子どもたちにスポーツを中心に教える学校で働く64歳のトレーナーが、校舎の入り口の扉に張られた「Z」の文字のマークをはずしたところ、学校の女性守衛と口論になり、トレーナーは「自分は戦争に反対だ」などと発言した。その会話を女性守衛が録音し、校長を通じて警察の知るところとなった。4月5日に裁判所に計6万ルーブル、8日に別の裁判で3万ルーブルの計9万ルーブル(約14万円)の罰金を命じられた。

本タイムラインで一昨日、ロシア西部のスポーツ・エリート校で英語教師の反戦的な発言を生徒が録音して密告し、その教師が免職になったケースを「徴候的な事例」としてとりあげた。遠く離れた東シベリアやサハリンの学校でも同じような現象が起こっているのだとすると、いまのロシア全体で生じている「典型的な事例」の1つだったのかもしれない。

【SatK】