ブチャの集団暴行。「犠牲者のなかには12歳の少女もいる」と、医師は私にウクライナ語、ポーランド語、英語で繰り返した。

「ガゼタ・ヴィボルチャ」 2022年4月5日 執筆者:Natalia Waloch

ブチャでロシア兵は女性と子どもに暴行した。司直の捜査を妨げるために、彼らは犠牲者の身分証明書を破棄している。

ブチャとイルピンでは、大規模な集団暴行が起こった。性的な暴力にさらされたのは女性だけでなく、子どもたちも被害をうけた。こうした報道について、キーウの心臓外科医ナザール・オゼリャンスキーは、われわれにそのとおりであると認めた。彼は、ブチャとイルピンからキーウに運ばれた420人を受け入れている精神科医と直接コンタクトをとっている。「420人というのは、昨日の数字です。」私が電話したとき、彼は私に念を押した。「今日はすでにもっと増えている。ものすごく増えています。」

医師によると、すべての女性が暴行を受けている。
「犠牲者のなかには12歳の少女もいるのです」と彼は私に3回繰り返した――まずウクライナ語で、次いでポーランド語で(彼はむかしポーランドにいたことがあるので、われわれの言語を少し知っているのだ)、そして、私がよく理解するように、英語で。

現在、ブチャとイルピンのすべての犠牲者は、キーウで専門家、とりわけ心理学者の保護下におかれている。ウクライナの検察も現場で捜査している。彼らは、犯罪の証拠をできるかぎり完全なかたちで、できるかぎり迅速に、確保することを望んでいる。時間がたつと証拠の多くが消えてしまうことを彼らは知っているからだ。しかし、証拠固めは問題に直面している。「犠牲者たちのパスポートその他の身分証明書が破棄されているのです」とオゼリャンスキー医師は語った。

これはロシア人の意図的な行動だ、と彼は強調した。彼らが犠牲者から身分証明書を奪うのは、捜査機関による犠牲者の身元の特定を困難にするためだ。犠牲者から証言をとる過程で、身元の特定が不可欠だからだ。ロシア兵のこのような行動のモデルは、すべての場所で同様だった。

すべての場所で。ブチャとイルピンの犠牲者は一部にすぎない。「これで終わりではない」と心臓外科医は2度繰り返して強調した。まだまだ来るだろう、チェルニーヒウから、ボロディアンカから…、と彼は語った。

キーウの専門家と活動家のチームは、保護下にある420人について、EU諸国に避難させて、治療と心療を組み合わせたサポートが受けられる場所で受け入れてもらうことを望んでいる。現時点で、ポーランドですでに、自治体や、暴行の犠牲者の保護を専門に行なってきた非政府機関から、ブチャとイルピンの犠牲者に支援の手を差しのべたいという最初の声があがっている。

【SatK】