大学執行部による学生呼び出しをめぐる見解 2021.07.07 Tweet Share Hatena Pocket RSS feedly Pin it 京都大学の教職員のみなさま 「自由と平和のための京大有志の会」は「大学執行部による学生呼び出しをめぐる見解」(2021年7月6日)を公表しました。 見解の骨子は、懲戒処分を前提とした学生呼び出しに際して弁護士等の同伴を一切禁じるのは人権という原理に鑑みておかしいと抗議し、対話による問題解決を呼びかけることです。京都大学の教職員は場合によっては学生処分に関与せざるをえない立場にあるからこそ、学生処分のあり方をめぐる問題性を可視化したいと思います。 ご賛同いただける場合には下記のフォームにご記入ください。 https://forms.gle/GV2wjAfVVZYqKYiMA 今回の「見解」で呼びかけの対象として主に想定しているのは京都大学の教職員です。ですが、学生として、あるいは市民としての賛同も受け付けます。基本的に賛同者のお名前は公表せず、人数のみを「自由と平和のための京大有志の会」のHP(https://www.kyotounivfreedom.com/)に公表する予定です。もしもメッセージを寄せていただいた場合には、メッセージも順次掲載させていただきます。 いま京都大学でどのような事態が生じているのか、まずは事実を広く共有したいと思います。ぜひこの呼びかけを広めてください。 自由と平和のための京大有志の会E-mail: info@kyotounivfreedom.com 大学執行部による学生呼び出しをめぐる見解 昨年11月27日に百周年時計台記念館に梯子をかけて車寄せ屋根に登った学生のうち9名に対して、今年2月16日、村中孝史理事は「京都大学学生懲戒規程」にしたがって「聞き取り調査の実施、弁明の機会の付与」を告げる文書を発しました。 呼び出しを受けた学生たちが連名で作成した「弁明書」(2021年3月29日付)によれば、学生たちが弁護士等の同伴を求めていることに対して村中理事は、「本調査は教育的観点に立ってなされるものであり、同伴者は認められません」と答えたということです(3月9日付)。また、呼び出しを受けた学生の中にはまったく身に覚えがない者もいるにもかかわらず、「確認された行為、言動」の根拠とする資料もあらかじめ開示しないままに聴き取り調査を実施しようとしているということです。村中理事は、5月27日付に発した文書でも、聴き取り調査は「教育的観点に立った指導の一環」であり、「貴君以外の他者からの干渉を受けることのない環境で、貴君自身から率直な貴君の認識を聴き取る」ために同伴者は認められないと繰り返しています。 わたしたちは、ここに「教育的観点」という言葉が持ち出されることに大きな疑問を感じます。呼び出された者が学生である以前に基本的人権を保障されるべき市民である以上、「教育的」という言葉で弁護士、教員等の同伴を否定するのは権力の濫用であり、個人の「自由」の侵害です。 「他者からの干渉を受けることのない環境」という理事の言葉は、聴き取りを受ける側が要求するならばともかくとして、聴き取りをする側が持ち出すのは、自らの立場の権力性にまったく無自覚なものとしか思えません。呼び出しを受けた学生たちが連名で作成した「弁明書」(2021年3月29日付)に述べる通り、このようなやり方では、「密室において処分を仄めかすなどの恫喝や複数名による叱責が行われる懸念がある以上、自白の強要が行われたり、実際にはやっていないことを認めてしまったりする可能性が排除できない」とわたしたちも考えます。 2019年にも大学執行部は、文学部、工学部、総合人間学部の学生3名の聴き取り調査を行った上で、無期停学の懲戒処分としました。処分の理由はタテカン撤去などに際して「職員の行為を妨害する」ことが「学生の本分」にもとるというものでした(「学生の懲戒処分について」2019年9月12日)。「学生の本分」という言葉は恣意的な解釈の余地が大きい上に、確認された行為に対して、無期停学という重い処分が妥当であったかどうかは大いに疑わしいといわざるを得ません。しかも、無期停学とされた学生たちは、キャンパスへの立ち入りすら許されないままに、一般の学生と同様に高額な授業料の納付を求められてきました。 学生たちの不信と反発を呼び起こさざるを得ない措置をこのように積み重ねた上で、今回、大学執行部は、さらに9名の学生(うち1人は3月に卒業したために現時点では8名)を対象として「京都大学学生懲戒規程」にしたがった処分を発動しようとしています。 学生の生活と生命を守ることこそが大学の基本的責務であるにもかかわらず、弁護士を同伴する権利など基本的人権すら否定する大学執行部の対応は、明らかに常軌を逸しています。自らが検察官のように居丈高に学生処分の必要を主張しながら、他方で裁判官のように処分の「量刑」まで決めてしまえる仕組みにも大きな問題があります。2019年に3名の学生の無期停学処分を決定した際には、大学執行部の主導で教授会が決めた「量刑」を覆した上で、より重たい「量刑」に変えました。 このような大学執行部の、理不尽で頑なな対応が学生たちを心身共に追い詰め、一部の学生が学外に拠点を置く組織とも連携しながら突出した行動に打開策を見いだそうとする悪循環が生じています。 非暴力と対話を重んじるわたしたちから見れば、大学執行部からする一方的な処分の発動は、自らが敵視する組織に「オルグ」や非対話的行為のための燃料を提供しているようにしか思えません。 わたしたちは、今回の懲戒処分を前提とした学生呼び出しに限らず、生産的な対話の可能性が大学執行部によって一方的かつ徹底的に否定された結果、学生たちがあらがうすべを失ってしまっている現在の状況を深く憂慮します。学生に対する厳しすぎる処分を連発しながら、自らの権力性と暴力性に無自覚な大学執行部に強く抗議し、理不尽な提訴や処分や呼び出しを撤回し、学生との対話の場につくことを求めます。 2021年7月6日自由と平和のための京大有志の会 Tweet Share Hatena Pocket RSS feedly Pin it この記事のタイトルとURLをコピーする 講演会「中東現代史のイロハから学びパレスチナ問題を考える 70年以上続くイスラエルによるパレスチナの民族浄化」 前の記事 「私物化」される国公立大学 次の記事