日時:2020年11月23日(月・祝)18時~20時 オンライン開催
登壇者:國分功一郎(哲学、東京大学教員)、細見和之(ドイツ思想、京都大学教員)、大河内泰樹(哲学、京都大学教員)
司会:松本卓也(精神病理学、京都大学教員)
オンラインにて開催(配信URLには、北部祭典オンラインのサイト https://sites.google.com/view/hokubufesonline/event から当日アクセス可能です。事前登録不要です。)
2015年の「自由と平和のための京大有志の会」結成以来、早いもので5年の歳月が流れました。この5年のあいだには、政治や社会のあり方の変化に追従するようにして、「大学」をめぐっても大きな変化が連続して生じました。「文系学部廃止」の流れに代表される人文社会科学系の学問の軽視や、大学での軍事研究の規制を緩めようとする動きだけではなく、2020年10月1日には、日本の学問研究を代表する組織である日本学術会議が推薦した会員のうち、これまで政権に対して批判的な意見を述べてきたとされる6名が、菅首相によって任命を拒否されたという信じがたいニュースが飛び込んできました。
たしかに、日本学術会議の会員の任命は「形式的には」首相が行うことになっています。しかし、そのような「トップダウン」の決定ばかりが民主主義なのではありません。民主主義は、単に代表を選挙や多数決で選び、選ばれた代表がすべてを「上から」決定することに収まるものではありません。むしろ、人々がおたがいに意見をぶつけあいながら、仲間どうしの「横の」関係から時間をかけて自律的にコンセンサスをつくりあげていく、という時間のかかるプロセスこそが民主主義の本質ではないでしょうか(少なくとも、先日亡くなってしまった人類学者デヴィッド・グレーバーは『民主主義の非西洋的起源について』のなかで、国家から自立したコミュニティに「民主主義」の希望を託しつつ、そんなふうに考えていたようです)。
大学という場所や、学問という領域もまた、後者の意味での「民主主義」がなければ機能不全に陥ってしまうのではないでしょうか。実際、学会や研究会、あるいはより小規模なゼミや読書会といったコミュニティがなければ、あるいはピア・レビュー(これは、まさに同僚どうしの「横の」関係にもとづく査読です)がなければ、大学や学問はひどくやせ細ってしまうことでしょう。その意味で、大学や学問について考えることは、「民主主義」を考えるための試金石となるはずです。
奇しくも、政権も代替わりし、京大でも総長が交代し、東大でも総長選挙の不透明性が問題になり、「民主主義」と大学のあり方があらためて問われている時代に、あらためて大学を取り巻く諸問題について議論をしてみたいと思います。
有志の会からは、細見和之さんと大河内泰樹さんに、そして東京大学からは、これまで哲学の研究と並行して、住民運動にも関わりつつ「民主主義」について思索を重ねてきた國分功一郎さんに登壇していただきます。
多数のご参加をお待ちしております。
(主催:自由と平和のための京大有志の会/後援:NPO法人国立人文研究所)