この勉強会は、京都大学の学生・教職員だけでなく、市民にも開かれた「ひろば」として開催されます。
「一つの嘆きは無数の嘆きと結びつく。無数の嘆きは一つの嘆きと鳴りひびく。」
今回は、作家 原民喜の生涯をたどった評伝をとりあげます。
日露戦争で日本が勝利した1905年に軍都広島に生まれた内向的な少年は、学校でほとんど誰とも口をきかず、教練や体操が苦手で教師や生徒からなぶり者にされますが、やがて文学の世界に生きる意味をみいだしていきます。戦争の暗雲たちこめるくらい時代に、特高に検束され、愛する伴侶を失いながらも、静かで平易な文章で日常の光景を描き続けました。1945年8月6日に広島で被爆した詩人は、その体験をもとに小説「夏の花」を執筆します。
孤独で繊細な詩人のことばは、いま、わたしたちのなかで、どのように鳴りひびくのでしょうか。
日時:2018年9月25日(火)19:00~21:00
会場:京都大学 吉田寮新棟 地下会議室
※キャンパスマップ
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/yoshida/map6r_ys.html
(東大路通から、94番と97番のあいだの入口を東に入ったところにあります。)
テキスト:
梯 久美子『原民喜――死と愛と孤独の肖像』(岩波新書、2018年7月刊)
※テキストは、参加者各自でご用意ください。
講師はたてず、専門家はいない、という前提で、各自が自分の読み方にもとづいて、感じたこと、思ったこと、考えたことを述べ合い、互いに耳をかたむけ合う、そんな集まりです。すでに「ひろば」を体験された方も、はじめての方も、どうぞご遠慮なくご参加ください。