10月5日(土)14:00~(開場13:30 | 終了17:00)、京都大学文学部 第3講義室にて、公開シンポジウム「知と骨 -京都帝大の奄美「人骨」調査と植民地主義-」が開催されます。基調講演:大津幸夫(京都大収蔵の遺骨返還を求める奄美三島連絡協議会代表)「京大奄美人遺骨問題の取り組み」、原井一郎(同事務局長)「彷徨える奄美人遺骨 -京大収奪が及ぼしたもの-」。応答:松島泰勝(龍谷大学)、駒込武(京都大学)。司会:板垣竜太(同志社大学)。主催:「人骨問題を考える連続学習会@京都大学」実行委員会(板垣竜太・駒込武・冨山一郎・松田素二)、科研費「批判的地域主義に向けた地域研究のダイアレクテイック」(東京外国語大学)。入場無料、事前登録不要。詳しくはこちらをご覧くださいませ。
戦前に京都帝大の人類学者たちは、「日本人」のルーツを解明するために、大日本帝国の各地で眠っていた遺骨を収集して回りました。その数は約1400体とも言われています。墳墓から遺骨を持ち去ることは、当時も刑法上の犯罪行為だったので、一般的に人類学者は偶然見つかった場合など消極的な収集にとどめていました。ところが風葬が広くおこなわれていた「南島」では、そうした慎重さが姿を消し、曖昧な根拠をもって「無縁墓」と見なして、あちこちの墳墓から遺骨を積極的に取って回りました。そこには「知と骨」をめぐる植民地主義としか言いようない関係性があります。
琉球民族の遺骨については現在裁判でその是非と返還が問われています。しかし同じ「南島」調査の対象となった奄美に関しては、まだ十分に公論化されていません。奄美の3島(奄美大島、喜界島、徳之島)からは、1地域からの収集数としては最大規模(文献上確認されるだけで263例)の遺骨が、京都大学総合博物館の収蔵庫に眠っています。
本シンポジウムでは、この問題に果敢に取り組んできた大津幸夫さんと原井一郎さんをお招きし、まず奄美からの声に耳を傾けます。そのうえで植民地主義的な関係性をいかに克服し得るのか、討議します。この問題にはじめて接する方々も含め、広く参加を募ります。